薬局昔物語り

お店のこと

こんにちは。

本日もご訪問いただきましてありがとうございます。

さて。

先日、私たちの薬店で8名の各分野のスペシャリストが集まり、現代医療や健康問題に関する問題点を話し合うイベントを行いました。

詳しい話はまたおいおいお話ししていくことにしまして、

これがきっかけで、最近私は昔勤めていた薬局のことをしみじみと思い出すようになりました。

「あ~昔は良かったなぁ~😊」

だけでは、ありません。

私の職歴で一番長いのが、少し前までは街角によくあった、店頭に象やらカエルの置物が置いてあり、種類は多くはないけれど、ティッシュやら洗剤やら、有名どころの化粧品やらが取り揃えられ、店の奥には風邪薬や胃腸薬、ビタミン剤が並び、さらに奥の棚には漢方薬や高価な健康食品などがずらずらっと並べられているような薬局での勤務でした。

途中からは医薬分業が政府主導で推し進められ、ご近所の医院の処方箋の調剤も行うようになってきました。

そうした薬局ですので客層も老若男女、職種も多種多様。ただ、住宅街の駅前でしたので、どちらかといえば一見さんはほぼおらず、地域密着型の薬局でした。

午前中はお子さん連れのママが処方箋を持って来られ、お子さんを店頭の象で遊ばせたり、お昼間は主婦層の方が日用雑貨や化粧品を買いに来られ世間話をして帰られたり、夕方以降は会社帰りの方が処方箋を持って来られたついでにちょっとした健康相談を受けたりと、日々、めちゃくちゃ多くのお客様が来られる訳でもないので、ひとり一人のお客様とはけっこうお話をする時間がありました。

そうすると、必然的に、そのお客様の仕事であったり、家族構成であったり、あるいは家族のイベントであったり、そのうちに健康に関する悩みは元より、仕事や人間関係の悩み、人生相談のようなことにまでなってしまうことも少なくはありませんでした。

「この前言ってはった、どこそこの調子どうなりましたか?」「この前の口紅の色、どうでしたか?」

ついこの前産まれたと思った赤ちゃんが、気がつけば幼稚園の制服を着ていたり、耳鼻科でよく薬を貰っていた小学生の男の子が社会人になったよーと来てくれたり。

地域密着という言葉を具体的にいうならば、まさしくこの様なことをいうのであろうというお店でした。

残念ながら、このお店はオーナーご夫婦が高齢になられたこともあり廃業されてしまいました。(事業継承を打診していただいたのですが、当時の私には勇気がなく、後を継ぐことに踏み切れませんでした。今思えば当時の自分を叱ってやりたい)

現在、小資本の個人経営の薬局はどんどんなくなり、気がつけば、薬屋といえばどこもかしこも同じようなドラッグストアと、これまた同じ感じのする調剤薬局ばかりになってしまいました。

そんな挙げ句の果てに、数年前より政府より掲げられた「かかりつけ薬剤師制度」。

私にすれば、ちゃんちゃらおかしい。としか言いようがありません。

(過激な言い方になりますが)国により滅ぼされた町薬局こそが、今一番必要とされているお店である。ということを言っているようなものであります。

私は薬剤師でありますので、慣れ親しんだ業界のことをお話しましたが、問題はこの業界だけではないはずです。

資本効率重視、作業効率重視。資本主義社会なのだから当然のことなのでありましょうが、失ったものも大きいような気がします。

しかし。先日の我々のミーティングが証拠に、現代の社会に問題意識を持っておられる方が数多くおられることはわかっています。ひとり一人の力が合わさりいずれ大きなムーブメントになる日が来る!!そんな予感がしています。

本日は昔物語りのつもりが、ずいぶんと唾を飛ばしたお話になってしまいましたが、とどのつまり、言いたいことは、私たちが目指すのは、昔のような”ザ・町のくすり屋”。

 

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